『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話は、「偽物の公女」と呼ばれることになる少女リーシェットと、「厄災」と恐れられる皇太子ルシアスの関係を、いきなり未来らしき衝撃的な場面から描き始めます。
鎖につながれたリーシェットを救うため、エルデン公爵家へ乗り込んでくるルシアス。
しかも彼は、リーシェットのことを単なる知人や婚約者ではなく、「僕の家族」として扱っています。
ところが物語が9歳のリーシェットへと戻ると、彼女が置かれている状況はまるで逆でした。
リーシェットは魔術の名門エルデン家の長女でありながら、魔力を発現できず、父親から認めてもらえません。
さらに彼女には、家族の誰も知らない重大な秘密があります。
実はリーシェットの前世は、エルデン家の始祖であり「魔術の祖」と呼ばれるリシュミア・エルデン本人だったのです。
それなのに、第1話の最後では、本来「長子だけ」に現れるはずの白の魔力が妹セリーナに発現。
リーシェット自身さえ、
「私は一体……?」
と、自分の存在に疑問を抱くことになります。
本記事では、第1話のストーリーを順番に追うだけでなく、リーシェットの正体、白の魔力、セリーナの発現、ルシアスとの関係、「ニセモノ公女」というタイトルにつながる伏線まで整理して解説します。
作品全体の登場人物や結末、リーシェットが「ニセモノ公女」と呼ばれるまでの流れについては、『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』原作ネタバレ・結末まとめでも詳しく整理しています。

『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話のネタバレ
第1話は、幼いリーシェットの物語からではなく、成長した彼女が何者かに拘束されている場面から始まります。
この冒頭と、物語後半で描かれる9歳のリーシェットとの落差こそ、第1話最大の仕掛けです。
鎖につながれたリーシェット
物語の冒頭。
成長したリーシェットは、薄暗い部屋の中で両足を鎖につながれています。
普通なら絶望的な状況ですが、リーシェットはただ怯えているわけではありません。
むしろ、誰かが来るのを待っているようにも見えます。
そして外から大きな音が聞こえると、リーシェットは反応します。
「来た」
彼女には、誰が自分を助けに来るのか分かっていたのでしょう。
この時点では、
- なぜリーシェットが捕らえられているのか
- 誰が彼女を拘束したのか
- いつの出来事なのか
- 彼女を助けに来た人物は誰なのか
といったことは、ほとんど説明されません。
読者に大きな謎だけを渡し、その答えを求めて先を読ませる構成になっています。
「厄災の皇子」ルシアスがエルデン公爵家へ現れる
リーシェットを迎えに来た人物。
それが、聖アルカディア皇国の皇太子ルシアスです。
周囲からは「厄災」と恐れられるほど危険視されている人物であり、エルデン公爵家にも強引に乗り込んできます。
当然、エルデン公爵は激怒します。
しかし、ルシアスはまったくひるみません。
彼の目的はただ一つ。
リーシェットを取り戻すことです。
ここで特に注目したいのが、リーシェットを巡る両者の認識の違いです。
エルデン公爵にとって、リーシェットは「自分の娘」。
一方のルシアスも、リーシェットを**「僕の家族」**だと考えています。
つまり冒頭から、
「リーシェットは誰の家族なのか」
という問題が提示されているのです。
これは第1話後半で描かれるリーシェットの過去を知ると、さらに意味深に感じられます。
リーシェットは迷わずルシアスへ飛び込む
ルシアスの姿を確認したリーシェットは、
「ルシアス!」
と彼の名を呼びます。
そして鎖につながれたまま、高い場所からルシアスの元へ飛び降ります。
かなり危険な行動です。
それでもリーシェットがためらわなかったのは、ルシアスなら必ず自分を受け止めてくれると信じていたからでしょう。
実際、ルシアスはしっかりとリーシェットを受け止めます。
第1話の時点では、2人がどうやって出会い、ここまで強い信頼関係を築いたのかは明かされていません。
それでもこの場面だけで、
「未来のリーシェットにとって、ルシアスは無条件で信頼できる存在になる」
ということは十分に伝わってきます。
物語は9歳のリーシェットへ
印象的な未来の場面を見せた後、物語は時間をさかのぼります。
主人公リーシェットは9歳。
彼女が生まれたエルデン公爵家は、長い歴史を持つ魔術の名門です。
中でもエルデン家を特別な存在にしているのが、代々受け継がれてきた白の魔力でした。
そして今代の長子として生まれたのが、リーシェットです。
普通なら、名門の後継者として将来を期待される立場でしょう。
しかもリーシェットは、魔術に関する知識だけなら驚くほど優秀。
9歳とは思えないほど難しい魔術書を読み、現役の魔術師である講師と専門的な議論まで交わせます。
ところが、彼女には致命的な問題がありました。
肝心の魔力が発現していないのです。
天才なのに父親から評価されないリーシェット
リーシェットの講師は、彼女の優秀さを認めています。
座学だけなら申し分なく、魔術理論についても驚くほど深い知識を持っています。
しかし父であるエルデン公爵が見ているのは、リーシェットの知識ではありません。
重視しているのは、
「エルデン家の長女として魔力を持っているか」
という一点です。
エルデン家は「魔術の祖」と呼ばれる人物を始祖に持つ一族。
その名門に生まれながら、9歳になっても魔力を発現していないリーシェットを、父親は高く評価しません。
講師が彼女の優秀さを伝えても、父親の態度は変わりませんでした。
リーシェットからすれば、どれだけ努力して知識を身につけても、最も認めてもらいたい相手には評価してもらえない状態です。
妹セリーナにはまったく違う態度を見せる父親
そんな父親の態度が一変する人物がいます。
リーシェットの妹、セリーナです。
セリーナが部屋へやって来ると、父親は先ほどまでとは別人のように明るい表情になります。
セリーナを歓迎し、抱きついてくる娘をうれしそうに受け止める父親。
その一方で、まだ部屋にいたリーシェットに対しては冷たい態度を見せます。
リーシェットとセリーナ。
同じ公爵家の娘であるにもかかわらず、父親から向けられる愛情には明らかな差があります。
母親についても同様です。
リーシェットは普段から立ち居振る舞いを注意され、「セリーナを見習いなさい」と妹と比較されることがあります。
リーシェット自身も、母親とはあまり仲が良くないと理解しています。
そして父親とのやり取りを終えた後には、心の中で、
父親ともあまり仲が良くない
と認識を改めています。
重い家庭環境ですが、リーシェット自身の淡々とした語りによって、作品全体が暗くなりすぎないよう描かれているのも特徴です。
リーシェットはリシュミアの本当の魔力発現時期を知っている
リーシェットの講師は、魔力がまだ発現していない彼女を励まそうとします。
そこで持ち出したのが、エルデン家の始祖であるリシュミア・エルデンの逸話でした。
伝承では、リシュミアの魔力が確認されたのは10歳頃とされています。
だからリーシェットも、まだ焦る必要はないのではないか。
そんな意味で話したのでしょう。
ところがリーシェットは、その話を訂正します。
実際のリシュミアは、もっと幼い頃にはすでに魔力を発現していた。
ただ当時は、魔力が発現した際に見られる兆候について十分な知識がなかった。
そのため歴史上では、リシュミアが10歳頃に魔力を発現したことになっている。
リーシェットは、まるでその場を実際に見ていた人物のように説明します。
当然、講師は疑問を抱きます。
そんな事実が書かれた文献など知らないからです。
リーシェットは慌てて話をごまかします。
ではなぜ、9歳の少女であるリーシェットが、歴史書にも残っていないリシュミアの幼少期を知っているのでしょうか。
その答えが、第1話で明らかになります。
リーシェットの前世は「魔術の祖」リシュミア本人
リーシェットがリシュミアについて詳しい理由。
それは彼女自身が、
リシュミア・エルデンの生まれ変わりだからです。
リーシェットは幼い頃、前世の記憶を取り戻しました。
大量の記憶が突然よみがえったため、知恵熱を出して数日寝込んでしまったほどです。
それ以来、彼女は前世の記憶を持ったままリーシェットとして生きています。
つまり現在のエルデン公爵家の人々から見れば、リーシェットは「始祖の子孫」。
しかし実際には、
エルデン家を築いた始祖本人が、自分の子孫の家へ転生している
という非常に特殊な状況なのです。
この設定によって、「魔力を持たないリーシェット」という存在は一気に不思議になります。
なぜなら前世のリシュミアこそ、エルデン家に伝わる特別な魔力の始まりだからです。
前世のリシュミアが欲しかったものは「家族」
リーシェットの前世であるリシュミアは、孤児でした。
幼い頃から家族というものに強い憧れを持っていたようです。
その後、リシュミアは魔術師として成功します。
「魔術の祖」と呼ばれるほどの功績を残し、名誉も財産も手に入れました。
けれど、それでも満たされなかったものがあります。
家族です。
だからこそリーシェットとして生まれ変わり、父親と母親、そして妹までいる生活を手に入れたことは、彼女にとって特別な出来事でした。
現在の両親から冷たく扱われても、簡単に家族を嫌いになれない理由もここにあります。
リーシェットにとっては、前世でどれだけ望んでも手に入らなかったものが、今世では最初から目の前にあったからです。
「役に立てば愛してもらえる」と努力してきたリーシェット
前世の記憶と知識を取り戻したリーシェットは、自分が家族の役に立てると思います。
転生した場所は、前世の自分が築いたエルデン家。
魔術に関する膨大な知識も残っています。
だったら、その知識を生かせば家族の助けになれる。
幼いリーシェットはそう考えました。
ところが、この努力は家族との距離を縮めることにつながりませんでした。
むしろ9歳とは思えないほど難しいことを理解し、大人顔負けの理屈を語るリーシェットは、両親からするとどこか子供らしくない存在に映っていた可能性があります。
一方、妹のセリーナは父親に素直に甘えます。
父親もそんなセリーナをかわいがります。
その様子を見つめながら、リーシェットはうらやましさを感じています。
ここから分かるのは、リーシェットが本当に欲しかったものは、
魔術師としての評価ではない
ということです。
彼女が欲しいのは、家族からの愛情。
それなのにリーシェットは、
「もっと役に立たなければ」
「もっと優秀にならなければ」
と考えてしまいます。
第1話の中でも特に切ない部分です。
魔力が発現すれば家族に認めてもらえる?
それでもリーシェットは、まだ希望を捨てていません。
自分が少し変わっているため、家族から距離を置かれているだけ。
決して嫌われているわけではない。
そんなふうに考えています。
そしてリーシェットが期待しているのが、自分自身の魔力発現です。
エルデン家には、始祖リシュミアから受け継がれてきた特別な白の魔力があります。
リーシェットの前世は、そのリシュミア本人。
ならばリーシェットにも、いずれ白の魔力が現れるはず。
魔力が発現すれば、これまで身につけてきた知識も本当の意味で役立てられる。
そうなれば家族からも認めてもらえるかもしれない。
リーシェットはそんな希望を抱いていました。
しかし、第1話の最後でその期待は大きく揺らぐことになります。
白の魔力が発現したのは妹セリーナ
突然、強い白色の魔力が現れます。
白の魔力を発現した人物。
それはリーシェットではありませんでした。
妹のセリーナです。
両親はセリーナの魔力発現を喜びます。
しかし周囲には、ある疑問が生まれます。
エルデン家に伝わる白の魔力には、ある特徴があったからです。
それは、
代々、長子だけに現れる
というもの。
今代のエルデン家の長子はリーシェット。
セリーナは次女です。
それなのになぜ、リーシェットには発現せず、セリーナに白の魔力が現れたのでしょうか。
周囲が疑問を抱く中、最も混乱しているのはリーシェット本人でした。
前世の自分が持っていた白の魔力。
自分が築いたエルデン家。
自分はその家の長女として生まれ変わった。
それなのに白の魔力を持っているのは妹。
リーシェットは、
「私は一体……?」
という疑問を抱きます。
第1話は、リーシェット自身の存在を根底から揺さぶる場面で幕を閉じます。
リーシェットの正体は?第1話で判明した秘密を整理
第1話を読み終えた時点で最も重要なのは、リーシェットの正体を整理しておくことです。
表面上の設定だけを見ると、彼女は「魔力のない公爵令嬢」。
しかし実際には、それだけではありません。
リーシェットはリシュミア・エルデンの生まれ変わり
最大のポイントは、
リーシェットの前世=リシュミア・エルデン
という事実です。
リシュミアはエルデン家の始祖であり、「魔術の祖」と呼ばれるほどの人物。
そのためリーシェットは、魔術について非常に高度な知識を持っています。
普通の9歳の子供が知らない歴史的事実まで知っているのも、自分自身の経験だからです。
リーシェットの前世やリシュミアとの関係については、今後公開予定の『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』リーシェットの正体は?前世リシュミアとの関係を解説でさらに詳しく整理できます。
血筋よりも「本人」に近い存在
この作品の面白いところは、リーシェットが今後「偽物」と疑われることを、第1話冒頭ですでに示している点です。
魔力だけを基準に考えれば、白の魔力を持たないリーシェットは「エルデン家らしくない」。
一方、白の魔力を発現したセリーナは「エルデン家らしい」。
ところがリーシェットの前世は、そもそもエルデン家を始めたリシュミア本人です。
つまり、
血筋や魔力によって「偽物」と疑われる少女が、実は誰よりもエルデン家の始祖に近い存在
という逆転した構図になっています。
この皮肉こそ、本作の設定上の大きな面白さです。
なぜセリーナに白の魔力が発現した?第1話の謎を考察
第1話最大の謎は、
なぜ次女セリーナに白の魔力が発現したのか
という点でしょう。
ここでは、第1話で確定している情報と、そこから考えられる可能性を分けて整理します。
白の魔力はエルデン家の長子に現れる
第1話で語られている重要なルールがあります。
エルデン家の白の魔力は、
代々、長子に発現してきた
ということ。
そして今代の長子として扱われてきたのはリーシェットです。
本来なら、白の魔力を受け継ぐ候補はリーシェットだったはずです。
しかし白の魔力を持ったのは次女セリーナ
実際に魔力を発現したのはセリーナでした。
単純に、
「リーシェットには魔力が出ず、妹の方が才能があった」
というだけなら、それほど大きな問題ではありません。
しかし「白の魔力は長子に現れる」というルールが存在するため、話が変わります。
セリーナに白の魔力が現れた瞬間、
「では、本当の長子は誰なのか?」
という疑問が生まれるからです。
リーシェットの出生が疑われる可能性
ここからは第1話時点での考察になります。
セリーナが白の魔力を持ったことによって、周囲が最初に疑いそうなのはリーシェットの出生でしょう。
もし白の魔力が本当に「エルデン家の長子だけ」に発現するのであれば、
「リーシェットは本当にエルデン公爵家の長女なのか?」
という疑問が生まれます。
そしてこの疑いは、第1話冒頭で示された、
「偽物の烙印を押された公女」
というリーシェットの未来につながる可能性があります。
ただし、第1話だけでは、
リーシェットが本当にエルデン家の実子ではない
と確定したわけではありません。
白の魔力の継承条件そのものに秘密がある可能性もありますし、セリーナの出生側に何か事情がある可能性もあります。
そのため現段階では、「セリーナに白の魔力が発現したことでリーシェットの出生が疑われるきっかけが生まれた」と理解しておくのが最も安全です。
セリーナと白の魔力の秘密については、今後公開予定の『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』セリーナの正体は?白の魔力が発現した理由を考察で掘り下げられます。
「ニセモノ公女」とはリーシェットのこと?
作品タイトルに含まれている「ニセモノ公女」。
第1話の時点で、その人物がリーシェットであることはほぼ明確に示されています。
冒頭では、成長したリーシェットについて「偽物の烙印を押された公女」というニュアンスの説明があります。
そして物語後半では、本来リーシェットに現れるはずだった白の魔力が妹セリーナに発現。
この2つをつなげて考えると、
白の魔力を持たないことが、リーシェットが「ニセモノ」と疑われる原因の一つになる
可能性が高そうです。
しかし読者だけは知っています。
リーシェットの前世が、エルデン家の始祖リシュミア本人であることを。
だからこそ、
「本物とは何なのか?」
という問いが生まれます。
血筋なのか。
魔力なのか。
本人の記憶や能力なのか。
第1話は、単なる「偽物の娘が虐げられる物語」ではなく、本物と偽物を何で判断するのかというテーマまで含んでいるように感じられます。
ルシアスはなぜリーシェットを「僕の家族」と呼ぶ?
第1話冒頭でもう一つ気になるのが、ルシアスの言葉です。
エルデン公爵がリーシェットを自分の娘として主張する一方、ルシアスも彼女を、
「僕の家族」
と呼びます。
第1話だけでは、2人がどのような経緯で家族と呼び合うほどの関係になったのかは分かりません。
しかし、この言葉はリーシェットの過去を知った後に読むと意味が大きく変わります。
家族を求め続けたリーシェット
前世のリシュミアは孤児でした。
魔術師として成功しても、家族だけは得られなかった。
だからリーシェットとして転生し、父親や母親、妹がいることを彼女は喜びました。
ところが、その家族から十分な愛情を与えられているとは言えません。
さらに未来では、「偽物の公女」として扱われることになります。
つまりリーシェットは、
前世からずっと欲しかった家族を手に入れたと思ったのに、その家族から拒絶される可能性がある
わけです。
そのリーシェットを救い出しに来たルシアスが、
「僕の家族」
と呼ぶ。
この対比は非常に印象的です。
血のつながりではなく「選ぶ家族」になる?
第1話の段階では断定できませんが、作品全体では、
血縁上の家族と、本当の意味で自分を大切にしてくれる家族
の対比が重要になってくるのではないでしょうか。
リーシェットは血のつながった家族から認めてもらうために努力します。
一方、未来のルシアスは、リーシェットが何者であろうと彼女を迎えに来ています。
さらにリーシェットも、鎖につながれた状態で迷わず彼の元へ飛び込んでいます。
これは2人の間に、かなり深い信頼関係が築かれている証拠でしょう。
第1話で注目したい3つの見どころ
第1話には多くの設定が登場しますが、特に注目したいポイントは3つあります。
1. 不遇な公女が実は「一族の始祖本人」
まず面白いのが、リーシェットの立場です。
周囲から見れば、
「魔力を発現できない出来損ないの公女」
のように扱われています。
しかし読者は、
「いや、この子がそもそもエルデン家を作った本人なんだけど」
という事実を知っています。
周囲からの評価と、リーシェットの本当の価値が完全に逆転している。
この構図によって、
「いつ周囲がリーシェットの本当の力に気付くのか」
という楽しみが生まれています。
2. リーシェットの「愛されたい」が切ない
リーシェットは頭が良く、精神年齢も高め。
だから表面的には、かなり冷静に見えます。
しかし内面を見ると、とても分かりやすい願いを持っています。
家族に愛してほしい。
父親がセリーナをかわいがる姿を見て、うらやましいと思う。
自分が役に立てるようになれば、きっと認めてもらえると期待する。
この姿には、前世で家族を持てなかったリシュミアの経験が影響しています。
単純な「冷遇される令嬢」ではなく、なぜ家族から離れられないのかまで理由が設定されているため、リーシェットの行動にも納得しやすくなっています。
3. 冒頭とラストがきれいにつながっている
第1話の構成も非常に印象的です。
冒頭では、
「偽物の公女」となった未来のリーシェット
が登場します。
そして最後には、
本来長子だけに現れる白の魔力が妹セリーナに発現
します。
つまり読者は、
「この出来事から、どうやって冒頭の未来につながっていくの?」
という疑問を抱くことになります。
未来の結果を最初に見せ、その原因をこれから描いていく構成です。
第1話だけで続きが気になる仕掛けがしっかり作られています。
第1話を読むと分かる「家族」というテーマ
『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話を単なるストーリーとして読むと、
「魔力を持たない公女に秘密があり、妹が特別な魔力を発現した」
という物語です。
しかし感情面に注目すると、中心にあるのは家族だと分かります。
前世のリシュミアは孤児でした。
だから今世では家族を大切にしたい。
父親から冷たくされても、母親から妹と比較されても、
「もっと役に立てば認めてもらえる」
と努力する。
ところが、そんなリーシェットは未来で「偽物」と呼ばれています。
つまり彼女が最も失いたくなかったものを、失う可能性が示されているのです。
そしてその時、リーシェットを迎えに来るのがルシアス。
彼はリーシェットを、
「僕の家族」
と呼びます。
この配置を考えると、本作は単なる恋愛ファンタジーだけではなく、
「血のつながりだけが家族なのか」
というテーマを描いていく作品なのかもしれません。
第1話でここまでテーマを仕込んでいる点は、今後の物語を追ううえでも注目したいところです。
『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話の疑問Q&A
リーシェットの前世は誰?
リーシェットの前世は、エルデン家の始祖であり「魔術の祖」と呼ばれるリシュミア・エルデンです。
そのためリーシェットは、9歳とは思えないほど高度な魔術知識を持っています。
リーシェットにはなぜ魔力がないの?
第1話の時点では、明確な理由は判明していません。
前世がリシュミア本人でありながら魔力が発現していないこと自体が、今後の重要な謎になりそうです。
白の魔力とは?
エルデン家に代々受け継がれている特別な魔力です。
第1話では「長子に現れる」という特徴が語られています。
なぜセリーナに白の魔力が発現したの?
第1話では理由までは明かされていません。
ただし本来は長子リーシェットに現れるはずの白の魔力を次女セリーナが発現したことで、リーシェットの出生や立場に疑いが生まれる可能性があります。
リーシェットは本当に「ニセモノ公女」なの?
第1話時点では、リーシェットが本当にエルデン家の実子ではないと確定していません。
ただし冒頭でリーシェットが「偽物」と呼ばれる未来が示されているため、白の魔力の発現がその疑惑につながっていく可能性があります。
ルシアスとリーシェットは恋人なの?
第1話だけでは、2人の具体的な関係はまだ分かりません。
ただし未来のルシアスはエルデン家を敵に回してでもリーシェットを救いに来ており、彼女を「僕の家族」と呼んでいます。
リーシェットもルシアスを強く信頼している様子なので、今後2人がどのように関係を深めるのかが大きな見どころです。
『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話ネタバレまとめ
『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』第1話では、主人公リーシェットの過去と未来、そして作品全体につながりそうな大きな謎が一気に提示されました。
- リーシェットはエルデン公爵家の長女
- 9歳になっても魔力が発現していない
- 魔術の知識は大人以上
- 前世はエルデン家の始祖リシュミア
- 前世のリシュミアは孤児で、家族に憧れていた
- リーシェットも家族に愛されようと努力している
- 父親はリーシェットには厳しく、妹セリーナをかわいがっている
- エルデン家の白の魔力は代々長子に発現する
- ところが白の魔力を発現したのは次女セリーナ
- リーシェットは自分自身の存在に疑問を持つ
- 未来ではリーシェットが「偽物の公女」と呼ばれている
- そのリーシェットを「僕の家族」と呼ぶルシアスが救出に来る
特に面白いのは、リーシェットが周囲から「偽物」と疑われる可能性がある一方で、彼女の前世はエルデン家の始祖本人だという点です。
誰よりもエルデン家の魔術を理解し、その歴史を知っている人物が、「エルデン家の人間ではないのでは?」と疑われる。
この逆説が、今後の物語を大きく動かしていきそうです。
また、第1話を通して見ると、作品の中心には「家族」というテーマがあることも分かります。
前世で家族を持てなかったリーシェット。
今世では家族に認めてもらうために努力しているリーシェット。
そして未来で彼女を「僕の家族」と呼び、迎えに来るルシアス。
リーシェットが最終的に誰を「自分の家族」と思うようになるのかも、大きな見どころになりそうです。
今後、リーシェットがなぜ「ニセモノ公女」と呼ばれるのか、セリーナに白の魔力が発現した本当の理由、そしてルシアスとの関係がどのように始まるのか。
第1話は、そのすべての入口となる回でした。
物語全体の結末や登場人物の秘密までまとめて確認したい方は、『厄災の皇子はニセモノ公女をご所望です』原作ネタバレ・結末まとめもあわせてチェックしてください。
