『愛され悪女が消えた世界』は、一度どん底に落ちた主人公が、もう一度人生をやり直すチャンスを手に入れる、先の読めないハラハラ感に満ちたお話です。
ピッコマで連載中の韓国発フルカラー漫画で、ジャンルはいわゆる「死に戻り」。主人公シエナは、大好きだったお姉様に裏切られて命を落としてしまうんです。
たとえば、一生懸命尽くしてきたのに「殺したいくらい嫌い」と突き放されるような、しんみりするほどの絶望感から始まります。
しかし、死んだはずが過去に戻っていて、ここからが逆転劇の始まり。前回と周りの態度が全然違っていて、「あれ?私、お姉様と間違われてる?」と戸惑うシエナから目が離せません。
裏切りから始まるので最初は少し重いですが、新しい人生でどう立ち回るのか、ワクワクしながら見守りたい人にはピッタリですよ。

当記事「マンガたのし屋」では、『愛され悪女が消えた世界』の序盤のあらすじから結末までの流れを、徹底的に読み解き、まとめ上げました。
この記事では、単なるあらすじの羅列ではなく、
- 物語の最大の転機「ナハト家が前世の記憶を取り戻す」瞬間
- すべての元凶である黒幕「ユーロス公爵」の正体と目的
- 7年後にシエナを襲う「存在の崩壊」という病の真相
- アシエルとの関係が動く「あのキスシーン」の背景
など、読者の皆さんが今一番知りたい核心的なネタバレを、時系列に沿って詳しく解説していきます。
途中で読むのが止まってしまった方も、これからの展開を先取りしたい方も、この記事を読めば「5分で」シエナの二度目の人生の軌跡と、物語の全貌をスッキリと理解できます。
それでは、裏切りから始まったシエナの運命がどう変わっていくのか、『愛され悪女が消えた世界』の結末までのネタバレ解説をご覧ください。
- 主人公シエナが過去に「死に戻り」してから、最新展開までの詳細なストーリーの流れ。
- 宿敵ロレイナの「偽の治癒魔法」の正体と、すべての黒幕であるユーロス公爵の目的。
- ナハト家の人々(大公・アシエル・ミハエル)が前世の記憶を取り戻す衝撃的なタイミングと、その後のシエナへの「贖罪」。
- シエナを襲う「存在の崩壊」という病の真相と、アシエルとの関係が大きく動くキスシーンの背景。
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【ネタバレあり】『愛され悪女が消えた世界』のあらすじと基本設定まとめ
- 凍えた心が溶ける刻『愛され悪女が消えた世界』|結末までのストーリーの流れ
- 『愛され悪女が消えた世界』の登場人物一覧と相関図
- 筆者の考察|物語の核となるテーマは「赦し」と「再生」
凍えた心が溶ける刻『愛され悪女が消えた世界』|結末までのストーリーの流れ
主人公シエナが過去に戻ってから、7年後の最新展開まで、物語の全貌を結末までの流れに沿って時系列で詳しくネタバレ解説します。
物語の幕開けは、息も凍るような冷たい石の床の上です。光の届かない牢獄で、主人公シエナは「死」だけを唯一の救いとしていました。
彼女の人生は、ただ一人の最愛の姉、ロレイナのために捧げられたものでした。姉が輝くための影として、姉に嫌われないためだけに、シエナは自分自身の全てを差し出して生きてきたのです。それなのに、その姉から突き付けられたのは、「殺したいくらい嫌いよ」という刃のような言葉。
信じていた世界の全てが、ガラガラと音を立てて崩れ落ちる瞬間でした。裏切りの絶望の中、シエナが選んだのは自らの命を絶つこと。姉の願い通りに殺されるのだけは拒否して、彼女は毒を呷ります。
しかし、次に目を開けた時、彼女がいたのは懐かしくも劣悪な、あの孤児院でした。時が遡り、二度目の人生が始まったのです。あまりの出来事に混乱するシエナですが、彼女の心はすでに固く凍り付いていました。
「もう誰も愛さない。期待しない。そうすれば、傷つくこともない」。そう誓った彼女の前に、前世では冷たく無関心だった人々が、なぜか今世では戸惑いと優しさを持って現れます。
特に、彼女を地獄のようなナハト家に連れて行ったロドリック・ナハト大公が、目の前で跪き、心配そうに彼女の名を呼ぶのです。この物語は、一度愛を諦めた少女が、降り注ぐ戸惑いだらけの「優しさ」の中で、再び自分の人生を取り戻そうとする、痛くも切ない再生の記録です。
序盤:絶望の底と二度目の生(1〜4話)
前世のシエナは、ただひたすらに姉のロレイナを慕っていました。天使のようなロレイナと比べられ、引き立て役として疎まれても、姉が笑ってくれればそれで良かったのです。
しかし、その献身は最も残酷な形で踏みにじられます。濡れ衣を着せられ、投獄されたシエナ。面会に来たロレイナから告げられた真実は、シエナの心を完全に破壊しました。牢の中で毒を飲み、ようやく手に入れたはずの「死」。それが、まさか回帰という形で裏切られるとは思いもしませんでした。
目覚めた場所は、ケンダル孤児院。魔獣と戦う魔導士を育てる、劣悪な環境の場所です。ここは、シエナとロレイナがナハト家に引き取られる前の、全ての始まりの場所でした。シエナは悟ります。これはチャンスなのだと。今度こそ、ロレイナに関わらない人生を、自分のための人生を歩もうと。
しかし、運命はまたしても彼女をナハト家へと導きます。前世では、転んだシエナを冷たく見下ろすだけだったナハト大公ロドリック。彼が今世では、埃にまみれたシエナの前に跪き、その手を取ろうとするのです。「ナハト家に来ないか」。
その言葉に、シエナは前世の地獄を思い出し、激しく彼の手を拒絶します。眩暈と共に意識を失う直前、シエナが見たのは、前世ではありえなかった、大公の心配そうな瞳でした。
転機:ナハト家の戸惑いと庇護(5〜16話)
シエナが倒れたことで、ロドリック大公は孤児院の劣悪な環境と院長の不正に気づきます。院長は権利を剥奪され、シエナを気遣ってくれたリサ先生が新しい院長になるという、前世とは全く違う展開。さらに、院長に奴隷として売られそうになったシエナを救ったのは、大公とその長男アシエルでした。
前世ではシエナの努力を「価値が無い」と切り捨てたアシエルが、今は院長を殴り飛ばし、シエナを守るのです。あまりの違いに戸惑いながらも、シエナは「ここで逃げても未来は変わらない」と、ナハト家へ行くことを決意します。
しかし、ナハト家での生活は、シエナにとって新たな混乱の始まりでした。馬車の中で眠ってしまったシエナを、大公自らが抱き上げて運び、前世ではロレイナに与えられていた最も豪華な部屋「月の揺籃」をシエナに与えるのです。次男のミハエルも、前世の冷たさが嘘のようにシエナに興味津々です。
彼らの態度は、シエナにとって理解不能なものでした。家族そろってのディナーでは、新しい家族を迎え入れるナハト家の慣習「ザクロの儀式」が行われます。
前世ではロレイナですら受けられなかった儀式。優しくされればされるほど、シエナの心は「どうせロレイナが現れたら、この優しさは全て奪われる」と、固く閉ざされていくのでした。
シエナの孤独とナハト家の変化
ナハト家での生活は、シエナにとってまるで薄氷の上を歩くような日々でした。前世でロレイナが使っていた「月の揺籃」のベッドで眠ると、必ずロレイナに裏切られる悪夢にうなされます。
その息苦しさから逃れるように、彼女は隣接するメイド部屋(前世で自分が寝ていた部屋)の床で丸くなって眠るのです。その方がずっと心が落ち着きました。この事実は、ナハト家の人々に静かな衝撃を与えます。
彼ら(大公、アシエル、ミハエル)もまた、戸惑っていました。なぜか、この孤児の少女から目が離せない。彼女が怯えると胸が痛み、彼女が危険に晒されると抑えきれない怒りがこみ上げる。アシエルは、シエナが院長に暴力を振るわれた時、自分でも理解できないほどの怒りを感じていました。
彼らは、シエナにどう接すれば心を開いてくれるのか分からず、ぎこちない優しさを差し伸べ続けます。しかし、シエナにとってその優しさは、前世の彼らの冷たい視線と重なり、ただただ恐怖と不信感を募らせるだけでした。
家庭教師としてやってきたローウェルが、前世と同じようにシエナを「孤児風情が」と罵倒した時、シエナはむしろ「こっちの方がマシだ」とさえ感じてしまいます。
しかし、その罵倒はすぐに駆けつけた大公によって遮られました。ローウェルは即座に排除され、シエナは大公が自分を守ったという事実に再び混乱します。
アシエルから贈られた花束を見ても、「現金で欲しかった」「どうせ勘違いされてはいけない」と、すぐに人にあげてしまうシエナ。彼女の心は、優しさを素直に受け取れないほど深く傷ついていたのです。
閉ざされた心と月の揺籃(17〜28話)
前世の記憶という呪縛は、シエナの行動を歪めていきます。ナハト家の人々が自分を「ロレイナ」だと勘違いしているに違いないと思い込み、いつか真実がバレて捨てられることを恐れていました。食事もろくに喉を通らず、怯えるシエナの姿に、ナハト家の人々はさらに心を痛めます。
そんな中、キルディニャック伯爵家の令嬢イザベルが、ナハト家の被後見人の座を狙って乗り込んできます。彼女はシエナを見下し、ナハト家に代々伝わるネームド(特別なアーティファクト)「ヘサロスの炎」への挑戦で実力差を見せつけようとシエナを挑発しました。
シエナは、前世でロレイナがこのヘサロスに触れ、気絶した末に強大な魔力を得たことを知っていました。そして、ヘサロスは真っ二つに壊れたことも。自分の魔力(ロレイナに奪われる前の本来の力)なら、今度こそ死ねるかもしれない。あるいは、失敗してナハト家から追い出されるかもしれない。
どちらに転んでもいいと、シエナは挑戦を受け入れます。イザベルが先に挑戦し、激しい拒絶反応で弾き飛ばされた後、シエナが恐る恐る浄化水に手を入れると、何も起こりません。失敗した、と安堵したのも束の間。彼女の頭の中に、直接声が響き渡りました。「待て。…二千年も待ちわびたぞ」。
ネームド「ヘサロス」との契約(29〜41話)
ヘサロスの炎は、自ら宙に浮き、浄化の炎をまといながらシエナの主契約を求めました。シエナは、目立ちたくない、ロレイナに目をつけられたくないとパニックになりますが、ヘサロスは構わず契約を完了させ、そのお祝いとしてナハト城一帯を浄化します。
この一件で、シエナは強力な浄化能力を持つ「テラフォーマー」として覚醒しました。そして、シエナは初めて「自分だけの味方」を手に入れます。
火の玉の姿になったヘサロスは、シエナがドールハウスを欲しがっていると勘違いしたり(本当は「家」が欲しかった)、シエナの魔力バランスを崩して一時的に幼女化させてしまったりと、少しお茶目ですが、シエナの孤独に寄り添う唯一無二の存在となりました。
ヘサロスは、シエナの「回帰」という秘密を共有し、彼女が前世でロレイナに魔力を奪われていたこと、そしてロレイナがシエナを憎んでいた可能性を指摘します。
ヘサロスの「お前がどのような状態であれ、私はお前を主に選んでいた」「私はお前の永遠の味方だ」という言葉に、シエナは張り詰めていた糸が切れたように涙を流します。ずっと求めていた言葉。ずっと欲しかった温もり。
シエナは決意します。「この唯一無二の味方のために、限界まで上りつめてみせる」。この決意が、ジェスター子爵による誘拐事件という危機を乗り越える力となりました。魔獣化した子爵の前に立ちはだかり、駆けつけたアシエルと共に魔獣を討伐したシエナは、もはや前世の無力な少女ではなかったのです。
忍び寄る陰謀と新たな絆
シエナがヘサロスの主となり、ナハト家で確かな居場所を見つけ始めた一方で、世界の歯車は前世とは違う音を立てて軋み始めていました。その中心には、やはり姉のロレイナがいます。前世ではナハト家に来てからシエナの魔力を奪い、その後「癒しの天使」として皇帝の病を治して名声を得たロレイナ。
しかし今世では、シエナがナハト家で寵愛されていると知るや否や、予定を早めて「治癒魔法」の発現を公表します。それはまるで、シエナに対抗するかのように。
シエナはヘサロスとの対話や、宝物庫で見たアシエルの幻影(前世でシエナの護身符を捨て、慟哭する姿)を通して、世界の歪みに気づき始めます。そんな中、シエナは皇帝フェデリック2世と出会いました。皇帝はシエナと同じテラフォーマーであり、彼女の力を一目で見抜きます。
そして、シエナもまた、皇帝の体内が致死量ともいえる濃密な「邪気」に侵されていることを見抜きました。前世でロレイナが治した皇帝の「病」。その正体は、ロレイナが仕込んだ邪気だったのかもしれない。皇帝を「治療」するという舞台を巡り、シエナとロレイナの運命が再び交錯しようとしていました。
孤児院の少年ルーと皇帝の病(42〜54話)
シエナの心には、ナハト家への不信感とは別に、確かな温もりも育っていました。孤児院を訪れたシエナは、リサ先生や、新たに孤児院に来た少年ルーと交流します。特にルーは、心を閉ざしていましたが、シエナにだけは懐き、彼女の膝の上で安心して眠りました。
その姿は、かつて愛に飢えていた自分自身と重なります。しかし、ミハエルが「もう孤児院に行くな」と嫉妬にも似た感情をぶつけてきたことで、シエナは再び心を閉ざしてしまいます。ナハト家の人間関係は、まだあまりにも不安定でした。
そんな中、皇帝から正式に謁見の招待が届きます。皇帝のテリトリーである庭園は、彼の心象世界。そこは枯れ果て、邪気に満ちていました。シエナは、皇帝がロレイナからも「治療」の申し出を受けていることを知ります。
皇帝は、間もなく始まるメイフェアシーズンで、どちらに治療を任せるか決めると宣言。同じ頃、ロレイナは自分の計画がシエナによって脅かされていることに苛立ち、母であるミナンシ伯爵夫人に「あの孤児を叩き潰す」と歪んだ笑顔を見せていました。
ロレイナの背後には、彼女を「最高傑作」と呼び、利用しようとする黒幕の影がちらついていたのです。
ロレイナとの対峙と大公の負傷(55〜78話)
メイフェアシーズンが始まり、シエナは皇帝のために浄化の力を込めた護身符(浄化石)を作ります。前世でアシエルに護身符を捨てられたトラウマに震えながらも、皇帝に渡した浄化石が喜んで受け入れられた時、シエナの心は温かい感情で満たされました。
「やっと誰かの役に立てた」。それは、彼女がずっと求めていた承認でした。一方、ロレイナは焦っていました。ファルビス侯爵夫人の膝を「治療」し(実際は寿命を削る邪法)、聖女としての名声を捏造しようとします。
しかし、夫人はシエナを公衆の面前で侮辱したことでナハト家の怒りを買い、さらにロレイナの邪法によって心臓麻痺で急死。計画は裏目に出ます。
夫人の葬儀の日、シエナはついにロレイナと二人きりで対峙します。冷たい雨が降る中、シエナはロレイナの偽りの笑顔を振り払い、「ファルビス侯爵夫人を殺したでしょう」と真実を突きつけます。激昂するロレイナ。その瞬間、ナハト家の面々が現れ、ロレイナは動揺を隠せません。シエナの静かな勝利でした。
しかし、直後に最大の危機が訪れます。東部戦線で大公が魔獣に襲われ、負傷。その傷はなぜかポーションが効かず、邪気に刻まれていました。それは、ロレイナを「治療役」としてナハト家に招き入れるための罠。医者がロレイナを呼ぶべきだと進言する中、シエナは決死の覚悟でテリトリーを展開。
大公の傷に宿る邪気を祓い、さらに浄化の炎で傷そのものを「治癒」してみせたのです。門の前で待ちぼうけを食らうロレイナをよそに、ナハト家では新たな「治癒の魔導士」が誕生していました。
7年の時を経て:世界の真実
大公を救ったシエナは、ナハト家の人々にとって命の恩人となりました。大公は眠るシエナを愛おしそうに抱きしめ、彼女が無意識に城を浄化し続けていた負担に気づき、心を痛めます。しかし、この束の間の平穏は、皇室のパーティーで打ち破られました。
皇帝から騎士に任命され、晴れやかな舞台に立つシエナ。その一方で、ロレイナの邪法に当てられたアシエルが苦しみ始めます。
彼を助けようとしたシエナと、目覚めたヘサロスの浄化の炎が引き金となり、アシエル、ミハエル、そして大公ロドリックまでもが、あの忌まわしい「前世の記憶」を取り戻してしまったのです。
シエナにとって、それは世界の終わりにも等しい絶望でした。今の彼らがどれほど優しくても、あの冷たい視線で自分を蔑み、虐待し、死に追いやった「彼ら」の記憶が戻った。その事実が、シエナの心を再び厚い氷で覆いました。彼女はナハト家との一切の会話を拒絶します。
「どうせ私は、世界が滅びないために必要な道具として生き返らされただけだ」。そんなシエナの絶望を知る由もなく、彼らの前に最大の黒幕、テシアス・ユーロス公爵が姿を現します。
彼はロレイナの後見人として名乗り出ました。すべての陰謀が、今、一つに繋がろうとしていました。そして、物語は7年の時を飛び越えます。
記憶の回帰とユーロスの暗躍(79〜87話)
パーティーでの出来事は、シエナとナハト家の関係性を根底から覆しました。ロレイナがアシエルにかけた邪法は、彼の精神を蝕みましたが、アシエルは「シエナはお前とは違う」とそれを跳ね除けます。
しかし、記憶が戻った瞬間、彼は前世でシエナにした仕打ちを思い出し、絶望に打ちひしがれました。大公もミハエルも同様です。彼らは、自分たちがシエナを死に追いやったという耐え難い真実と向き合うことになりました。
ヘサロスは推測します。時間を戻したのは、シエナの死を後悔したナハト家の人々自身ではないかと。しかし、シエナはその可能性を受け入れられません。彼女にとって、彼らは許しがたい「加害者」でした。
この心の溝が決定的となった直後、黒幕であるユーロス公爵がロレイナの後見人として登場。彼は、かつてユーロス家の直系一家を事故に見せかけて抹殺し、公爵位を奪った世外(この世の者ではない)の存在である可能性が浮上します。
シエナとナハト家は、家族としての関係を修復する間もなく、世界の存亡をかけた共通の敵と対峙することになったのです。
存在の揺らぎと殲滅戦(88〜96話)
7年後。シエナは18歳になり、「春の女神」と呼ばれる強力なテラフォーマーとしてシオバン士官学校で活躍していました。ミハエルは最年少ポーションマスターに、かつての敵イザベルはシエナの忠実な補佐官となっています。孤児院のルーも成長し、新入生として入学してきました。
一見、順風満帆に見えるシエナ。しかし、彼女の身体は「存在の崩壊」という深刻な問題に蝕まれていました。過去回帰という時間軸の歪みの代償で、彼女は時折吐血するほど衰弱していたのです。
そんな中、ユーロス主導の大規模殲滅戦への出戦命令が下ります。これは、ロレイナを英雄に仕立て上げるためのユーロスの罠でした。シエナは、アランディア皇太子(ユーロスの陰謀を探る同志)の密命を受け、罠と知りつつ戦場へ向かいます。戦場で出会った三大貴族の一人、ペラート公爵と共闘するシエナ。
しかし、時間軸の崩壊と戦いの疲労が重なり、ロレイナの不意打ちによってシエナは存在崩壊の危機に陥ります。そのシエNAを不気味な空間から引き戻したのは、駆けつけたアシエルでした。彼はシエナに「医療行為」としてキスをし、彼女の時間軸を一時的に安定させます。
アシエルが大切に持っていた「前世の失敗した護身符」を媒介に、二人は水龍を圧倒。しかし、ロレイナもまた、ユーロスから与えられたネームド「エスペランサ」を手にし、戦いは新たな局面を迎えるのでした。
物語が問いかける「愛」と「赦し」
この物語は、絶望の淵から這い上がった一人の少女の物語であると同時に、「愛」と「赦し」という重いテーマを私たちに問いかけます。『愛され悪(女が消えた世界』というタイトル。
それは、愛されることを渇望しながらも叶わなかったシエナ自身のことであり、同時に、歪んだ形でしか愛を表現できず、愛を奪うことしか知らなかったロレイナのことでもあったのかもしれません。
シエナは二度目の人生で、ヘサロスという絶対的な味方を得て、皇帝やリサ先生、ルー、イザベルといった新しい絆を手に入れました。
しかし、彼女の心の中心には、今もなおナハト家への不信感と、彼らが取り戻した「前世の記憶」という名の棘が深く突き刺さっています。ナハト家の人々は、前世で犯した罪を記憶し、今世ではシエナを守ろうと必死です。
ミハエルは7年間、謝罪の言葉の代わりにポーションを作り続け、アシエルはシエナの存在の謎を解くために「千年箱」の謎を追っています。彼らの行動は、紛れもなく「贖罪」であり、「愛」です。
シエナが彼らの愛を受け入れ、前世の彼らを「赦す」ことができるのか。そして、シエナ自身の「存在の崩壊」という最大の試練を、彼らはどう乗り越えるのでしょうか。
凍てついた時間の雪解け
殲滅戦は、ロレイナのネームド登場という波乱を含みつつ、シエナの多大な功績によって終結しました。戦利品であるハートジュエルは、シエナに好意を寄せるペラート公爵の手を経て、シエナに贈られます。それを見つめるアシエルの険しい視線。彼らの関係もまた、新たな段階に進み始めています。
シエナの戦いは、まだ終わりません。黒幕ユーロス公爵の陰謀は帝国全体を覆い、シエナの身体は時間という名の時限爆弾を抱えています。けれど、彼女はもう一人ではありません。
前世で彼女が渇望した「誰かの役に立ちたい」という願い。それを今、彼女は自分の意志で、自分の力で叶えています。
凍てついていた彼女の時間が、ナハト家の人々の苦悩と献身によって、少しずつ溶け始めている。その雪解けの先に、シエナが心から笑える「真の春」が訪れることを、ただ願わずにはいられません。
『愛され悪女が消えた世界』の登場人物一覧と相関図
この物語の魅力は、なんといっても登場する人々の「心の動き」にあると思います。一度は絶望的に壊れてしまった関係が、二度目の人生でどう変わっていくのか。あたたかい日差しの中で、少しずつ雪が溶けていくような、そんな繊細な変化が丁寧に描かれています。
ここでは、物語を彩る主要なキャラクターたちを、彼らの性格や役割、そして「今、何を思っているのか」という心の内に焦点を当てて、やさしくご紹介していきますね。
シエナ・ヘサロス(主人公)
この物語の主人公、シエナ。彼女の旅は、凍えるような絶望の牢獄から始まります。
- 性格と心の動き: 前世では、大好きなお姉様(ロレイナ)に尽くすことだけが生きる意味でした。でも、そのお姉様に「殺したいくらい嫌い」と裏切られ、自ら命を絶ちます。 だから、回帰した二度目の人生のスタート地点では、彼女の心はカチカチに凍り付いていました。「もう誰も愛さない、期待しない」。そう誓って、誰にも心を開かないと決めていたんです。ところが、今世のナハト家の人々は、なぜか前世と違って彼女にとても優しい。戸惑い、怯え、「どうせお姉様が来たら捨てられる」と、せっかく差し伸べられた手からも逃げようとしてしまいます。
- 物語での役割: 絶望を知っているからこそ、本当の優しさに触れたときに強く成長できる。彼女がナハト家の人々を、そして自分自身を「赦せる」日が来るのかが、物語の大きな見どころです。
ここがポイント!
そんな彼女が変わるきっかけをくれたのが、ネームドの「ヘサロス」でした。「私はお前の永遠の味方だ」という言葉が、シエナの凍った心を初めて溶かしてくれます。 7年後の彼女は、士官学校で「春の女神」と呼ばれるほど強く、美しく成長しました。でも、その内側には「存在の崩壊」という、回帰した代償である大きな不安を抱えています。弱さと強さを併せ持つ、応援したくなる主人公です。
ヘサロス(シエナの相棒)
シエナが「月の揺籃」の部屋を怖がってメイド部屋で寝ていた時、彼女は「家(安心できる場所)」が欲しいんだと勘違いして、ドールハウスにはしゃいだり、宝物庫で見つけたキセル(!)を「マイホームにする!」と言い出したり。読者の皆さんにも、こんな味方がいたら…と思わせてくれる存在です。
- 性格と役割: シエナが契約したネームド「ヘサロスの炎」。普段は火の玉や、キセルに宿る煙(?)のような姿をしていますが、シエナの「絶対的な味方」です。 シエナの秘密(回帰したこと)を唯一知っていて、彼女の孤独に寄り添い、時にはお茶目に、時には厳しく彼女を導きます。シエナが皇帝の病の正体や、ロレイナの陰謀に気づけたのも、ヘサロスの助言があったからこそ。シエナにとっては、最強の相棒であり、心の支えです。
ナハト大公(ロドリック)
ナハト家の当主であり、アシエルとミハエルの父親。シエナにとっては、今世での「育ての親」のような存在です。
- 性格と心の動き: 戦場では「戦場の死神」と恐れられるほど強い魔導士ですが、内面はとても不器用。前世では邪法の影響でシエナに全く無関心でしたが、今世では孤児院で出会った瞬間からシエナが気になって仕方ありません。 シエナに豪華な部屋を与え、優しくしようとするのですが、シエナが怯えるばかりなので「どうしたらいいんだ…」といつも悩んでいます。彼らがどうやってシエナに「ごめんなさい」を伝えていくのか、その不器用な姿こそが、この物語のもう一つの柱です。 記憶が戻ってからは、前世でシエナを地獄に放置していた自分を激しく悔いています。シエナが皇帝にだけ懐くのを見て、ちょっと寂しそうにしている姿は、もうただの「お父さん」です。
アシエル・ナハト(大公子)
大公の長男。クールに見えますが、内側には一番熱いものを持っている人かもしれません。
- 性格と心の動き: 前世では、シエナが心を込めて作った護身符を床に投げ捨てるほど、彼女を軽蔑していました(これも邪法の影響です)。 しかし今世では、院長からシエナを守ったり、彼女の危機には必ず駆けつけたりと、まるで別人。シエナが護身符作りに失敗して捨てた「エッセンシャルジュエルの欠片」を、彼はこっそり拾って、7年後もずっと大切に持っているんです。前世で一番冷たかった彼が、今世では一番シエナを想っている(かもしれない)という心の動きに注目です。 記憶が戻った時、前世で護身符を捨てた自分を思い出して、誰よりも深く絶望しました。シエナの「存在の崩壊」を止めるために「医療行為だ」とキスをするシーンは、彼の罪悪感とシエナへの想いが溢れていて、胸が苦しくなります。
ミハエル・ナハト(小公子)
大公の次男。ナハト家の中では、一番シエナとの距離が近い存在です。
- 性格と心の動き: 今世では最初からシエナに興味津々。一緒に街に出かけたり、ヤング・プレップに参加したりと、シエナを外の世界に連れ出してくれる役割でした。 でも、記憶が戻ってからは、「謝りたいけど、許してもらえなかったら怖い」という気持ちから、シエナに「ごめん」の一言が言えなくなってしまいます。 その代わり、彼は7年後、天才ポーションマスターとして、シエナが吐血して倒れた時に誰よりも早く駆けつけ、彼女のために寝る間も惜しんで薬を作り続けます。言葉にできない「ごめん」を、7年間行動で示し続ける彼のひたむきさも見逃せません。
ロレイナ・ミナンシ(光と影)
シエナの義理の姉。前世でシエナを絶望の底に突き落とした張本人です。
- 性格と役割: 表向きは「天使」や「聖女」と呼ばれる完璧な淑女。しかしその内面は、歪んだ承認欲求と嫉妬に満ちています。彼女は、シエナから全てを奪うことでしか自分を保てません。 前世ではシエナの魔力を奪い、今世では「治癒魔法(偽物)」を使って名声を得ようとします。彼女もまた、母親や黒幕のユーロス公爵から「完璧であること」を求められる被害者なのかもしれませんが、シエ<b></b>ナにした仕打ちは許されるものではありません。物語の「影」として、シエナの前に立ちはだかります。
周囲の人々と関係性マップ
シエナの二度目の人生は、ナハト家以外にもたくさんの素敵な出会いに恵まれました。
- 皇帝(フレデリック2世): シエナと同じテラフォーマー。シエナの力を見抜き、「皇室の騎士」に任命してくれた、まるでお祖父ちゃんのような存在。シエナがナハト家以外で初めて心から信頼した大人です。
- イザベル: 最初はシエナをライバル視していましたが、邪気に侵されたところをシエナに救われ(許され)て改心。7年後はシエナの右腕として活躍する、頼れる友人になりました。
- ルー: 孤児院で出会った少年。シエナにだけ心を開きました。7年後、成長した姿でシエナの通う士官学校に入学してきます。
- ペラート公爵: 三大貴族の一人。殲滅戦でシエナに命を救われ、彼女に一目惚れしてしまった(?)様子。アシエルの新たなライバルになるかもしれません。
- ユーロス公爵: 全ての黒幕。ロレイナを利用して、帝国を我が物にしようと企む謎の存在です。
▼関係性マップ(簡易)
- シエナの世界
- 絶対的信頼(相棒): ⇔ ヘサロス
- 守りたい・贖罪したい: ← ナハト家(大公, アシエル, ミハエル)
- 祖父と孫のような絆: ⇔ 皇帝
- 忠誠・友情: ← イザベル、ルー
- 好意・感謝: ← ペラート公爵
- 協力関係: ⇔ アランディア皇太子
- 敵対関係
- シエナ ⇔ ロレイナ(憎悪・嫉妬)
- シエナ&ナハト家 ⇔ ユーロス公爵(黒幕)
- ユーロス公爵 → ロレイナ(利用)
このように、一度は切れたはずの絆が、形を変えて再び結び直されていくのが、この物語の本当にあたたかいところ。特にナハト家の人々が、前世の記憶という重すぎる十字架を背負いながら、どうやってシエナとの「本当の家族」になっていくのか。その過程を、ぜひ見守ってあげてほしいなと思います。
筆者の考察|物語の核となるテーマは「赦し」と「再生」
この物語は単なる復讐劇ではありません。ナハト家が「前世の記憶」を取り戻してからの「贖罪」と、シエナの「赦し」という、作品の核心に迫るテーマを深く考察します。
この物語『愛され悪(女が消えた世界』を読み解くとき、私たちはつい、主人公シエナがかつての裏切り者たちにどう立ち向かうのか、そして黒幕であるユーロス公爵の陰謀をどう打ち破るのか、という「外側」の出来事に目を奪われがちです。
もちろん、それらも物語の大きな推進力であることは間違いありません。しかし、もし物語の核、つまり作者が本当に描きたかった心の奥底にあるテーマは何かと問われたなら、私は「復讐」や「勝利」ではなく、「痛みを伴う再生と、赦しへの道」にあると答えます。
この物語は、単なる「人生やり直し」の物語ではありません。それは、絶望によって心が完全に壊れてしまった一人の少女と、取り返しのつかない罪の記憶を抱えた家族が、もう一度「家族」になろうと試みる、痛々しくも切実な記録なのです。
なぜなら、この物語の最大の障害は、魔獣でも黒幕でもなく、シエナとナハト家の人々の間に横たわる「前世の記憶」という名の、深く冷たい谷だからです。この谷をどう乗り越えるのか。それこそが、この作品の核であり、私たちが最も心を揺さぶられる点なのだと思います。
凍り付いた信頼の「雪解け」
物語の冒頭、シエナの心は完全に凍り付いています。前世で唯一信じていた姉に「殺したいくらい嫌い」と言われ、人生の全てを否定されたのですから、当然でしょう。彼女が二度目の人生で立てた誓いは、「もう誰も愛さない、期待しない」ことでした。
この「トラウマ」の描写が、非常に現実的です。今世のナハト家の人々は、前世とはうって変わって彼女に優しく接します。しかし、シエナはその優しさを受け取ることができません。
たとえば、彼女に与えられた最も豪華な部屋「月の揺籃」。前世でロレイナが使っていたその部屋で、彼女は悪夢にうなされます。そして、安心できる場所を求めて、かつて自分が寝ていた「メイド部屋」の冷たい床で丸くなって眠るのです。
これは、彼女の心が「優しさ」や「安全」よりも、「慣れ親しんだ(たとえそれが劣悪であっても)環境」を選んでしまうという、深い心の傷を象象徴しています。彼女は、差し伸べられた手を「いつか裏切られるもの」としてしか見ることができません。
この凍てついた心を溶かし始めるのが、ネームド「ヘサロス」の存在です。ヘサロスは、シエナにとって初めての「無条件の味方」でした。彼女の過去(回帰)を知ってもなお、「私はお前の永遠の味方だ」と断言してくれる存在です。
この絶対的な安全基地を得て初めて、シエナは他者からの優しさを少しずつ受け入れる準備を始めることができるようになります。ヘサロスとの出会いは、シエナの「再生」の第一歩だったのです。
「加害者」の記憶を持つ者たちの贖罪
この物語が他の「やり直し」作品と一線を画す最大のポイントは、ここにあると私は考えています。それは、かつての加害者であったナハト家の人々もまた、「前世の記憶」を取り戻してしまうという点です。
通常のやり直し物語では、主人公だけが記憶を持ち、周りの人々は「今回はなぜか良い人」になっていることが多いでしょう。しかし、この作品は違います。ナハト大公、アシエル、ミハエルは、皇室のパーティーでの一件をきっかけに、自分たちが前世でシエナに何をしたのかを思い出してしまいます。
彼らが今世でシエナに向けていた戸惑い混じりの優しさは、記憶を取り戻した瞬間から、「贖罪(しょくざい)」という重い意味を帯びるのです。彼らは単に優しいのではありません。
自分たちがかつて一人の少女を虐待し、絶望の淵に追いやり、死なせてしまったという耐え難い罪悪感と向き合わなければならなくなりました。
たとえば、アシエル。彼は前世でシエナが心を込めて作った護身符を「価値が無い」と床に投げ捨てました。
その記憶が戻った彼は、今世でシエナが護身符作りに失敗して捨てた「エッセンシャルジュエルの欠片」を、誰にも言わずに拾い、7年後もずっと大切に持ち続けています。それは、彼の罪の象徴であり、今度こそ彼女を大切にするという誓いの証なのです。
また、ミハエルは、シエナに「ごめんなさい」の一言が言えません。許してもらえないことが怖いからです。その代わり、彼は天才ポーションマスターとなり、7年間、彼女が体調を崩すたびに、寝る間も惜しんで薬を作り続けます。言葉にできない謝罪を、行動で示し続けているのです。
この物語は、被害者のシエナだけでなく、「加害者」となってしまった彼らが、いかにしてその罪を償おうとするのか、その苦悩もまた深く描いています。
「家族」とは何かを問う物語
シエナとナハト家の関係は、私たちに「家族とは何か」という普遍的な問いを投げかけます。
- 前世の「家族」
- ロレイナ(姉): 血の繋がりはあった。しかし、そこにあったのは「愛」ではなく、「支配」と「嫉妬」でした。
- ナハト家: 血の繋がりはなかった。そこにあったのは「無関心」と「軽蔑」でした。
前世において、シエナには「家族」と呼べる存在は誰もいませんでした。
- 今世の「家族」
- ロレイナ(敵): シエナのすべてを奪おうとする「敵」として立ちはだかります。
- ナハト家(贖罪者): 血は繋がらないままですが、前世の罪を記憶し、シエナを守り、支え、彼女の幸せを取り戻すために全てを捧げようとします。
物語は、血の繋がり(ロレイナ)が必ずしも「家族」を意味しないこと、そして、血が繋がっていなくても(ナハト家)、過ちを認め、償い、互いを思いやる行動こそが「家族」を形成していくのだと示しています。
シエナが皇帝やヘサロスという「新しい絆」を築いていく一方で、ナハト家の人々は、一度壊してしまった関係を、必死に修復しようと努めます。この物語の核は、血縁という「呪い」から解き放ち、行動と選択によって「本当の家族」を再構築していく、その苦難のプロセスそのものなのです。
影からの脱却と「シエナ」という個の確立
シエナの再生は、「赦し」と同時に「自立」の物語でもあります。前世の彼女は、アイデンティティ(自己)を持っていませんでした。彼女の価値は、常に「ロレイナの引き立て役」であり、「ロレイナの影」であることでした。彼女自身の望みや、彼女自身の価値は、誰からも認められることはありませんでした。
しかし、二度目の人生で、彼女は「シエナ」という一人の人間としての価値を確立していきます。
- 「ネームド・ヘサロスの主」として
- 「皇帝陛下の騎士」として
- 「春の女神」と呼ばれるテラフォーマーとして
これらは単なるファンタジー的な称号ではありません。彼女が「ロレイナの影」ではなく、「シエナ」という一人の人間として世界に認められていく過程そのものです。
特に重要だったのは、彼女が自らの意志で皇帝の「病」(邪気)を治すと決断したことでしょう。それは、誰かに言われたからでも、誰かのためでもなく、彼女自身が「皇帝を助けたい」と願ったからこその行動でした。
前世でロレイナに全てを奪われた無力な少女は、今や自らの力で他者を救い、運命を切り開く主体的な存在へと成長したのです。この「個」の確立こそが、彼女が過去のトラウマを乗り越え、未来へ進むための強固な土台となっていきます。
赦しと再生への道(結び)
このように物語を解きほぐしていくと、この作品の本当のクライマックスは、黒幕ユーロス公爵を倒すこと「だけ」ではないことが見えてきます。最大の山場は、シエナがナハト家の人々を「赦す」ことができるか、そしてナハト家の人々が自分自身を「赦す」ことができるか、という点にあります。
シエナが抱える「存在の崩壊」という問題は、回帰したことによる時間軸の歪みが原因とされています。しかし、これはメタファー(隠喩)でもあると私は思います。
彼女の「存在」が不安定なのは、彼女の「過去(前世の記憶)」と「現在(今世のナハト家)」が、心の中で激しく対立し、統合できていないからです。
彼女がナハト家の人々が犯した「過去の罪」を許し、彼らが今世で示している「現在の愛」を受け入れたとき。つまり、シエナが彼らを「加害者」ではなく、過ちを犯した「家族」として再び受け入れることができたとき、初めて彼女の存在は安定し、本当の意味で「再生」を遂げるのではないでしょうか。
『愛され悪(女が消えた世界』とは、愛を渇望した少女が、愛を思い出した家族と共に、絶望的な過去を乗り越え、共に「真の春」を迎えるための、長く、険しく、しかし希望に満ちた「赦し」の物語。これこそが、この作品の揺るぎない「核」であると、私は思います。
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『愛され悪女が消えた世界』を読む前に押さえたい予備知識・設定ガイド(ネタバレ含む)
- ネタバレFAQ|よくある疑問10選(黒幕の正体・アシエルとのキスは?)
- このマンガが「刺さる人」と「合わない人」の特徴
- どこで読める?ピッコマとKakaoPageの違いを徹底比較
- 5分で読める!『愛され悪女が消えた世界』結末までのネタバレ解説!のまとめ
ネタバレFAQ|よくある疑問10選(黒幕の正体・アシエルとのキスは?)
この物語を読み進めると、「あれ? どうしてこうなったの?」「あの時のあの人の気持ちは?」と、たくさんの疑問が浮かんできますよね。
ここでは、物語の核心に触れるギモンから、ちょっとした豆知識まで、よくある質問をQ&A形式でやさしく解説していきます!
ここがポイント!
“ネタバレ強”の質問には物語の核心や結末も含まれているので、知りたくない方はご注意ください!どの質問もやさしく・あたたかい解説でまとめていますので、初めての方でも安心して物語の世界を楽しんでいただけます。
このマンガが「刺さる人」と「合わない人」の特徴
「死に戻り溺愛系が好き!」という方にはもちろんおすすめですが、実はシリアスな展開も多め。あなたがこの作品にハマるタイプか、読む前に向き不向きをチェックしてみましょう。
おすすめする人
- <「死に戻り」からの大逆転劇が好きな人> → 虐げられ、裏切られた主人公が過去に戻り、人生をやり直す——。まさに王道かつ人気の設定が好きな人にはたまりません。前世の絶望が深いぶん、今世で彼女がどう立ち回り、幸せを掴んでいくのか、ハラハラしながら応援したくなります。
- <周囲の態度が180度変わる「ギャップ溺愛」が見たい人> → 前世ではシエナをゴミ同然に扱ったナハト大公一家(大公、アシエル、ミハエル)が、今世では彼女にどう接していいか分からず、戸惑いながらも必死に優しさを注ぎます。「あのアシエルがこんな表情を!?」というような、冷酷だった人たちが見せる“ぎこちない過保護っぷり”は、本作最大の魅力です。
- <罪悪感を抱えたヒーローたちの「贖罪」に惹かれる人> → この物語が特にユニークなのは、物語中盤でナハト家の人々も「前世の記憶」を取り戻す点です。自分たちがシエナにした仕打ちを思い出し、深い罪悪感と後悔に苛まれながら、今世で必死に彼女に償おうとします。彼らの切実な姿(例えば、アシエルが前世で捨てた護身符を今世では宝物のように持ち続ける姿など)に胸が締め付けられます。
- <単なる恋愛だけでなく、壮大な謎解きや陰謀論も楽しみたい人> → なぜシエナは戻ったのか? 姉ロレイナの背後にいる黒幕(ユーロス公爵)の真の目的は? 物語全体を通して「邪法」や「時間回帰の代償」といったシリアスな謎が散りばめられており、読み応えのあるファンタジーが好きな方にもおすすめです。
おすすめしない人
- <主人公がトラウマを抱えているのが苦手な人> → シエナは前世の裏切りによって、心が深く傷ついています。そのため序盤は、ナハト家の人々がどれだけ優しくしても「どうせ裏切られる」と頑なに心を閉ざします。その期間がやや長めなので、主人公がすぐに周囲と打ち解けないとじれったく感じてしまう人には、少し我慢が必要かもしれません。
- <複雑な設定やシリアス展開が重いと感じる人> → 溺愛ルートではありますが、全体としては「邪気」「魔獣」「黒幕の暗躍」「存在の崩壊」など、重くシリアスな設定や描写が非常に多いです。難しいことを考えず、明るく軽いラブコメを読みたい気分の時には、少し重く感じてしまう可能性があります。
- <特定のヒーローと早く結ばれてほしい人> → ナハト家の3人(大公・アシエル・ミハエル)をはじめ、皇帝やペラート公爵など、多くの魅力的な男性キャラがシエナを大切に想い、守ろうとします。いわゆる「逆ハーレム」状態が長く続くため、早く一対一の恋愛関係に進展してほしい方にとっては、じれったく感じるかもしれません。
絶望の底から始まった少女が、「本当の家族の愛」とは何か、そして「赦し」とは何かを見つけていく、切なくも温かい再生の物語です。
どこで読める?ピッコマとKakaoPageの違いを徹底比較
『愛され悪女が消えた世界』を読むなら、作者さんを応援でき、かつ安全で快適な公式配信アプリの利用が最もおすすめです。
現在、日本語で読みたい方は「ピッコマ」、韓国語の原作をいち早く先読みしたい方は「KakaoPage(カカオページ)」が、それぞれ正規の配信ルートとなります。
「どちらが自分に合っているんだろう?」と迷う方のために、それぞれの特徴とメリットを詳しく解説しますね。
日本語で読みたい場合(ピッコマ)
日本語で物語を楽しみたい、または手軽に読みたいという方には、「ピッコマ」が唯一の公式配信サービスとなります。
データベースの情報にもある通り、本作はピッコマの「独占配信」作品ですので、他の日本の電子書籍サイトやアプリでは現在読むことができません。
- アプリ: ピッコマ
- 無料範囲: 基本的に1〜3話まで(時期により変動あり)
- 以降の閲覧: 「待てば¥0」対象作品(23時間ごとに1話無料チャージ) or コイン(ポイント)で購入し即時閲覧
- 更新日: 毎週水曜日
- 閲覧形式: SMARTOON(フルカラー・縦スクロール)
ピッコマで読む最大のメリットは、やはり公式の日本語翻訳で快適に読めることです。シエナの繊細な心の動きや、ナハト家の人々のぎこちない優しさが、違和感のない自然な日本語でスッと心に入ってきます。
また、ピッコマ独自の「待てば¥0」システムに対応しているため、毎日コツコツ読み進めれば、無料で最新話近くまで追いつくことが可能です。「続きが気になって待てない!」という時は、アプリ内でコイン(ポイント)を購入すれば、すぐに先のストーリーを読むこともできますよ。
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韓国語原作を読みたい場合(KakaoPage)
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- 無料範囲: 1〜数話程度(※時期やキャンペーンによります)
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5分で読める!『愛され悪女が消えた世界』結末までのネタバレ解説!のまとめ
最後に、この記事で解説した重要なネタバレポイントを、簡潔な箇条書きで総復習します。物語の全体像をもう一度おさらいしたい方は、こちらをご覧ください。
- 主人公シエナは、最愛の姉ロレイナに裏切られて一度死ぬ
- 死んだシエナは、孤児院時代に「死に戻り」人生をやり直す
- 前世と異なり、ナハト大公一家(大公・アシエル・ミハエル)から溺愛される
- シエナはネームド「ヘサロスの炎」と契約し、唯一無二の相棒(ヘサロス)を得る
- 強力な浄化能力者「テラフォーマー」として覚醒する
- 皇帝の病の正体は「邪気」であり、シエナが浄化に成功し信頼を得る
- 宿敵ロレイナの「治癒魔法」は、他人の寿命を削る偽物の邪法である
- 大公が魔獣に襲われた際、シエナが「治癒」の力で大公の命を救う
- 皇室のパーティーで、ナハト大公・アシエル・ミハエルが「前世の記憶」を取り戻す
- ナハト家が「加害者」だった記憶に、シエナは絶望し再び心を閉ざす
- 物語のすべての黒幕は「テシアス・ユーロス公爵」である
- 物語は7年後に進み、シエナは18歳の「春の女神」と呼ばれる少尉になる
- シエナは「回帰の代償」として「存在の崩壊」が進み、吐血する
- 存在崩壊の危機に陥ったシエナを、アシエルがキス(医療行為)で救う
- アシエルは前世の罪悪感を抱え、シエナの「失敗した護身符」を宝物として持ち続けている
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